先日、映画『宝島』を鑑賞してきました。
沖縄が舞台ということもあり、沖縄に住んでいる自分として「これは観なければ…!」と思って映画館へ。祝日の昼の回でしたが、なんと満員。観客の多さに驚きつつ、作品への関心の高さを感じました。
この記事では、ネタバレありで『宝島』の感想をまとめています。
映画『宝島』とは?
直木賞作家・真藤順丈の同名小説を映画化した話題作。
舞台は、沖縄がまだアメリカの統治下にあった時代。米軍基地から物資を奪う「戦果アギヤー」と呼ばれる若者たちの生きざまが描かれます。
主演は妻夫木聡・窪田正孝・永山瑛太・広瀬すずら豪華キャスト。沖縄の激動の歴史を背景に、友情・愛・そして抑圧された人々の怒りが交錯する壮大な人間ドラマです。
ストーリーのあらすじ
沖縄がアメリカ統治下にあった頃、米軍に忍び込み物資を奪う「戦果アギヤー」。
グスク(妻夫木聡)、レイ(窪田正孝)、レイの兄でリーダー的存在のオン(永山瑛太)は、ある夜の襲撃で米軍に追われ、オンは消息を絶ちます。
オンの恋人・ヤマコ(広瀬すず)、そしてグスクとレイは、それぞれ教師・警察官・ヤクザと道を分かちつつも、独自のルートで失踪したオンを探し続ける…といった内容です。
映画『宝島』の見どころ
事前の宣伝では「消えた幼馴染を探し続け、20年後に真実にたどり着く物語」と紹介されていました。
しかし実際に観て感じたのは、この映画の真の見どころは“沖縄の人々の抑圧された歴史”だということです。
グスクやレイ、オンなどの登場人物は、その抑圧された沖縄の人々の一部として、具体例の1つである、むしろ1つでしかありません。個人の物語を超えて「沖縄の記憶そのもの」を描き出しています。
特に印象的だったのは、ラストの「コザ騒動」のシーン。怒りが一気に爆発する群衆の迫力に圧倒されました。あの臨場感は、映画館の大画面だからこそ味わえるものでした。
気になったポイント
- うちなーぐちのリアルさ
沖縄に住んでいる自分でも難しい場面があったほど。歴史的背景を忠実に再現しているからこそですが、内地の方には理解が難しいかもしれません。大河ドラマ・西郷どんの奄美大島パート(ご存知の方いますか?)のように字幕があればより親切だったかも。 - 上映時間の長さ
3時間を超える上映時間。私は最後まで集中できましたが、自宅鑑賞なら途中で区切ってしまったかもしれません。実際、映画館でも途中で席を立つ方がいました。
※ここから結末ネタバレあり
オンが姿を消した理由は、米軍基地で出会った赤ん坊・ウータにありました。
オンたちの襲撃の夜、米軍高官との間に子を身ごもった女性が相手に会うために基地に侵入。女性は基地内で出産しますが直後に亡くなり、残された赤ん坊をオンが発見し引き取ることに。悪石島で労働しながら養育しますが、やがて島が襲われ、命からがら本島に戻ったものの、そのまま亡くなってしまいます。
オンを探し続けていた3人は、真相を知らないまま年月を過ごすことに…。
一方でウータは浮浪児となり、ヤマコやレイたちと関わりを持ちます。やがてコザ騒動の中で侵入した基地でレイをかばって撃たれ、命を落とすのです。
オンが救った命(ウータ)が、結果的に仲間を守る存在となる。
時を超えて受け継がれる「命のリレー」が、胸を締めつけました。
感想まとめ
『宝島』は、いわゆる感動的なヒューマンドラマや大きなどんでん返しを楽しむタイプの映画ではありません。
そのため、そうした展開を期待して観に行くと、少し肩透かしを感じる方もいるかもしれません。
けれどもこの作品の本質は、沖縄の戦後に押し付けられた悲惨な歴史を体感することにあると思います。
スクリーンを通じて「こんなことが実際にあったのか」と知ることができたのは大きな意味がありました。
こんな人におすすめ
- 沖縄の戦後史や基地問題に関心がある人
- エンタメ作品ではなく、歴史を学べる重厚な映画を観たい人
- 沖縄にゆかりがある、または沖縄をより深く理解したいと思っている人
👉 映画『宝島』は、沖縄の記憶を今に伝える力強い作品でした。




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