映画『ドールハウス』ノベライズ感想(ネタバレ注意)

ドラマ&映画

先日、本屋で映画『ドールハウス』のノベライズ版を見かけて、気になって思わず購入してしまいました!

小説版では、映画では見えにくかった主人公たちの心情が丁寧に描かれていて、「あの時どう感じていたのか」がより深く伝わってきます。
この記事では映画版だけでなく小説版の内容にも触れていますので、未読の方はご注意くださいね。(※ネタバレありです!)

映画考察についての記事→映画『ドールハウス』ネタバレ考察|衝撃のラストをどう読み解く?

腐った牛乳と敏子のセリフがつながる

読んでいて「そうだった!」と思い出したのが、敏子が真衣を預かったときに水を飲んで、腐っており「何これ?」と怪訝な顔をするシーン。
この反応、やはり鈴木家の牛乳が腐っていたことと同じく、“礼”の影響だったんだと納得しました。

また、ママ友が訪ねてきたときに芽衣の仏壇を閉めた理由も、小説では「詮索されたくなかったから」と明確にされており、以前の自分の考察「芽衣の魂が人形に宿っていたから悲しんで腐らせた説」は否定されると感じました。

礼の封印の崩壊【幻覚の始まり】

神無島でのクライマックス。礼人形を包んでいた袋の御札が燃えた理由も、小説で明かされていました。
置いてあった線香が墓に落ちてしまい、それが引火したとのこと。これは映画では見逃していた描写だったので「なるほど!」と腑に落ちました。

御札が燃えたことで、礼の封印が解け、佳恵は幻覚に囚われていくことになります。
佳恵は髪をガラスで切って帰宅した後も、鏡に映った真衣の顔が礼になっていたことで、まだ幻覚の中にいると気づきます。それでも芽衣への執着は断ち切れず、芽衣を引き止めようとしてしまいます。

小説では、佳恵が本気で「芽衣が私たち夫婦を助けてくれた」と信じている様子も描かれていて、読んでいて胸が苦しくなりました。

手つかずのクッキーが語る“現実”

マンションに帰ってからも、佳恵は仏壇にいる芽衣と、真衣の家族4人で過ごす日常に幸せを感じています。

彼女自身は「礼の呪いを断ち切り、家族4人の平和が戻った」と信じているのですが…。
一方で、敏子や神田が目にした現実は、1つの席だけ手つかずの牛乳とクッキー。
これは、夫婦が完全に礼の作り出した世界に囚われてしまったことを示しています。

ノベライズを読んで印象に残ったこと

小説を読みながら改めて感じたのは、「真衣が生まれた後も、佳恵の中には亡くなった芽衣への想いが強く残っていた」ということ。

礼人形は、芽衣の代わりでしかなかった。
そう考えると、芽衣をなくした心の隙間に礼が入り込んでくるのも仕方がなかったのかもしれません。

そして、妙子が「礼を自分と一緒に埋葬してほしい」と願った理由についても、地獄への道連れだったのか、それとも残されたわずかな愛情だったのか…推測のみで明言されていません。

ノベライズ版には、映画では描かれなかった“人形の恐ろしさ”がより際立つアナザーストーリーも収録されています。
呪禁師・神田やオカルトレンジャーの裏話も含めて、映画の恐ろしさがぐっと増す内容で、個人的にはここがかなり刺さりました!

まとめ

映画を観た方には、ノベライズ版もぜひ読んでみてほしいです!
ノベライズ版『ドールハウス』は、映画では描ききれなかった心理描写・幻覚の構造・礼の背景を補完してくれる作品でした。

幻覚と現実の境界に揺れる母の想い。そして、誰にも渡されたくなかった“家族”という人形の物語が、また違った角度から迫ってきます。

映画考察についての記事はこちら↓

コメント

タイトルとURLをコピーしました