誰かとごはんを食べたくなる『晩餐ブルース』感想

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なんとなく心がざわざわする日や、誰かと話したくなる夜。引越しが迫って情緒が不安定な時期に、『晩餐ブルース』を見ました。

このドラマには、大きな事件や、派手な演出もないけれど、30分なのでとても見やすくてprimevideoで一気見してしまいました。
静かに、じんわりと心をほぐしてくれる、そんなやさしさが詰まっています。

今回は、そんな『晩餐ブルース』を観て心に沁みた、癒しのポイントを3つご紹介します。

“立ち止まる”ことを肯定してくれるドラマ

『晩餐ブルース』に登場するのは、どこか疲れた大人たち。
仕事に追われ、自分のことで精一杯な日々。思い通りにいかない現実や、ふとした孤独に心が沈む瞬間——そんな日常のなかで、彼らは少し立ち止まり、また歩き出していきます。

とくに印象的だったのが、主人公・優太が同僚の上野のために、レンジでから揚げを作るシーン。
普段は自分のことでいっぱいいっぱいだった彼が、「誰かのためにごはんを作る」ことを通して、少しだけ心をひらく姿がとても印象的でした。

頑張りすぎなくてもいい。
疲れたときは、立ち止まって、ごはんを食べる。それだけで、また前を向ける——そんなメッセージを感じる場面でした。

温かいごはんには、人をゆるめる力がある

このドラマには、派手な料理は出てきません。でも、そのどれもがとても美味しそうで、温かくて、思わず再現したくなります。
カレー、ハンバーグ、餃子、ロールキャベツ——どれも家庭的で、どこか懐かしい。一緒に料理を作って、みんなで美味しく食べる、丁寧に用意されたその料理は、観ている私の心までふっとほどいてくれました。

生きることは食べること。「ごはんをちゃんと食べること」って、身体の栄養だけじゃなくて、心の栄養でもあるんですよね。
疲れた日ほど、温かいごはんが必要なんだと、改めて思いました。

「食パン一斤もらったら分け合える相手がいますか?」

ドラマのなかで、優太たちは「晩餐活動」と称して、男三人でたまに夕食をともにします。
そんな関係を、少し小馬鹿にするような先輩・木山に対して、優太が静かに問いかけた言葉が、とても心に残りました。

「食パン一斤もらったら分け合える相手がいますか?」

それは、ただ一緒に食べることの意味を超えて、
“日々のささやかな喜びを分かち合える誰かがいるか”という問いのようにも感じました。

美味しいものを手にしたとき、ふとこの人と一緒に食べようと思える相手がいる。
そんな人間関係が、何よりもあたたかく、何よりも尊いのだと気づかされます。

おわりに:ドラマを観終わったあと、誰かとご飯を作りたくなる

『晩餐ブルース』は、特別な出来事は起きないけれど、観終わったあとに、
自分のなかのなにかが、すこし整っているような気持ちになります。

気持ちが沈む夜や、忙しくて余裕がなくなる毎日。このドラマの登場人物全員がそんな日常をすごしているんですよね。
このドラマは、そっと肩の力を抜いて、「無理しなくていいよ」とささやいてくれるようでした。

観終わったあと、不思議とお腹がすいてくる。
そして、久しぶりに誰かと一緒にごはんを作りたくなる——。

それが『晩餐ブルース』の魅力なのだと思います。
今日の晩ごはん、カレーライスを作りたくなりました。

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