映画『ドールハウス』ネタバレ考察|衝撃のラストをどう読み解く?

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先日、夫と一緒に映画『ドールハウス』を観てきました!

Golden SixTONESで長澤まさみさんが宣伝しているのを見て気になっていた作品だったのですが、想像以上に引き込まれる映画で、すごく面白かったです。

今回は、1人の視聴者としてラストシーンを中心に考察してみました。
あくまでパンフレット未読の個人の感想なので、こういう見方もあるんだ〜くらいの気持ちで読んでいただけたら嬉しいです。
※がっつりネタバレを含みますのでご注意ください!

ラストシーンについて整理してみる

神無島へ向かった佳恵たちは、妙子の墓を暴いて礼の遺体を納めます。しかし、芽衣の写真を墓の中に落としてしまい、佳恵は墓に入り写真を取り戻そうとします。

礼を包んでいた袋の護符が燃え、佳恵は墓から脱出しようとしますが礼に引きずりこまれて出られなくなります。忠彦は佳恵を必死に引っ張り、墓から引き上げて蓋を閉めますが、佳恵の挟まっていた髪の毛を引っ張られ引きずり込まれそうに…。

咄嗟に佳恵は芽衣の写真を割り、ガラスで自分の髪を切り落としてなんとか脱出します。

帰宅後、佳恵は真衣に抱きしめられますが、あまりに強く抱きしめられるため、鏡越しに顔を見ると真衣ではなく礼の顔。
一方で忠彦は洗濯機の中に真衣を見つけ、必死に開けると中にいたのは芽衣でした。

芽衣はリビングに行き、佳恵を抱きしめている礼の手を取り、部屋を出ていこうとします。佳恵は慌てて「待って!」と芽衣を追おうとしますが、忠彦がその手を掴んで止めます。

このとき忠彦が見ていたのは、洗濯機に向かってシャベルを振るう幻覚。実際には、彼は墓にシャベルを振るい、佳恵が墓から出られない状況を作ってしまっていたのです。(この描写についてSNSやネットの感想を読み漁りましたが誰も言及してなくて自信ないです…。)

やがて両親は正気を取り戻し、芽衣とともに海を渡って自宅へ帰ります。真衣と一緒にクッキーを食べ、真衣をベビーカーに乗せて家族で外出します。入れ替わるように、1週間以上連絡が取れないことを不審に思った敏子と神田が、管理人とともに部屋に向かいます。ベビーモニターで礼と真衣の会話を聞いた神田は、礼は実母・妙子から虐待されていたこと、そして妙子の墓に埋葬されることは彼女の望みではなかったと気づきます。

室内には、誰もいないリビングに3人分の席、虫の浮いた腐った牛乳、数枚のクッキーが残されていました。

そして外では、ベビーカーを押して歩く両親の姿。車の中から真衣が窓を叩いて呼びかけますが、2人は気づかず通り過ぎていきます。2人が真衣として扱っていた少女は、実は人形・礼でした…。

感動的に見えた“芽衣が礼を連れていくことで両親を救った”エンディングから、最後にバッドエンドとして覆される衝撃的な展開でした。

考察1:礼は成仏し、芽衣の魂が宿った説

芽衣が礼を連れて出て行ったシーンは現実に近く、礼の魂を芽衣が浄化し、礼の身体に芽衣の魂が宿ったという説です。

洗濯機の中で亡くなった芽衣が、忠彦に洗濯機の蓋を壊されたことで魂が解放され、両親とともに神無島から戻る。実際には芽衣は礼に宿っているのですが、両親からは魂となった芽衣の姿だけが見えているため3人で手をつないで帰っている描写となっているのかと思われます。

そして腐った牛乳の描写について、芽衣の負の感情による能力であると考えてみます。ママ友が来た時に仏壇を閉められた=自分の存在を隠されたと感じて、牛乳を腐らせた。

そして、最後自宅でも真衣だと誤認して扱われていることが悲しく腐らせたため、虫が浮いている。

また、仏壇の花が枯れたのは、芽衣の魂が仏壇から人形に移ったことを示していると考えられます。

ただ、この説にはいくつかの疑問点も。

  • 礼を芽衣と認識して島から戻った両親が、なぜ帰宅後は真衣と錯覚したのか?
  • 神田が「妙子の墓に葬るべきではなかった」と話していた場面がこの説だと不要になるのでは?
  • 専門家でも手に負えなかった礼を、芽衣が簡単に成仏させられるのか?

考察2:礼の封印に失敗し、連れて帰ってしまった説

佳恵と忠彦は礼の封印に失敗。鈴木家はドールハウス(=礼にとって理想の世界)となり、芽衣と真衣は、両親の中で存在しないものとなったという考察です。

芽衣の写真を墓に落とし、佳恵が取るために墓の中に入ったところまでは現実で、それ以降は礼が墓から連れ出してもらうために両親に見せた幻覚です。

礼は両親から愛情を向けられる真衣を憎むようになり、真衣と佳恵の絆を壊そうといろいろな事件を起こします。その中で礼は強力な力があり、現実世界に影響を与えたり、幻覚を見せたり、身体共有したりすることが可能であることが示されています。

例えば、ママ友に出す紅茶に入れる牛乳が腐っていたのは、鈴木家が徐々に礼に浸食されていっている&鈴木家に侵入する他者を排除したいという礼の影響でしょう。山本に少女を轢いてしまったという幻覚を見せたり、礼を転売しようとした僧侶を呪ってエスカレーターから転落させたりしています。写真に写っている芽衣の顔だけを黒く塗りつぶしたり、敏子を噛んだりしたのは礼と身体を共有していた真衣の仕業だと思います。

佳恵が芽衣の写真を拾おうとしたことで、礼の中に芽衣への嫉妬が芽生え、佳恵と忠彦の心にいる芽衣と真衣を追い出して自分を「娘」として愛してもらおうとする執念が現れました。

真衣のふりをして佳恵に抱きつきますが、礼であることがばれて佳恵から拒絶されたことで、今度は芽衣の姿を使い「礼を連れて行ってくれる存在」として演出。
両親に“芽衣によって救われた”と思い込ませ、自分は“真衣”としてそばに残る。
そうして礼は、真衣の姿を借りて愛情を手に入れ、理想の家族を完成させたというわけです。

仏壇の花が枯れたのも、両親の中で芽衣の存在が消えていった象徴。

両親は礼を本物の真衣であると認識しているため、車の中から窓をたたいて声をかける現実の真衣を認識できなくなっています。

そこで鈴木家がドールハウス(礼が両親の愛情を独り占めできる世界)となったことが分かり、最後のドールハウスというタイトルが画面に映し出され終了。

個人的には、この説はタイトルの「ドールハウス」の意味を回収しており腑に落ちます。ただ、中盤の牛乳が腐っていた描写の前に、芽衣の仏壇の扉を閉めていたのは、ただ単に新しくできたママ友に芽衣のことを詮索されたくなかったからなのか?という疑問もあります。

真衣の背中の傷は何が原因?

  1. 佳恵による無意識の虐待
  2. 礼の過去の傷が真衣に投影された
  3. 礼によってつけられた傷

1については、佳恵が無意識に自分の腕を掻き、腕に大量に引っ搔き傷を作っていた描写や、夢の中でも、礼を殴っているつもりが実は真衣を殴っていたというシーンがあったので、礼が親子を引き裂くために見せた幻覚によって、真衣に傷をつけていた可能性があります。
2の「投影説」は、妙子が礼を棒で叩いていたことから、傷跡の形状が少し違う気も…。
3の礼による直接的な傷という説は、礼は人形ですが、爪が伸びる描写があったことや、「礼ちゃんが痛いことしてくる」という真衣のセリフや噛み跡から考えても、信憑性が高いと思います。

まとめ:だれにもわたさないー悲しい少女の物語

映画『ドールハウス』のキャッチコピーである「だれにもわたさない」は、悲しい過去を持つ少女・礼がようやく手にした“理想の家族”への執着そのものだったのかもしれません。

ホラーとしての怖さもありつつ、観終わったあともずっと頭から離れないような、深く考えさせられる作品でした。

もしご覧になった方がいたら、ぜひ他の考察も聞かせてください!

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